「ボールを連打すると捕まりやすい」「あのキャラが仲間になる」——。
インターネットが普及していなかった1980〜90年代、子どもたちの間では数々の「ゲームのデマ(都市伝説)」が都市伝説のように語り継がれていました。
情報源が友人との口コミ、ゲーム雑誌、裏技本に限られていた当時、噂は瞬く間に全国へ広がり、時には公式をも巻き込む社会現象へと発展しました。
この記事では、昭和〜平成のゲーム史に残る「有名なデマ10選」をピックアップします。
デマが生まれた真相や背景に加え、当時のリアルな体験談(コメント・口コミ)を交えて解説していきたいと思います。
なぜ昔のゲームには「デマ」が多かったのか?
当時のゲーム業界においてデマが爆発的に広まった背景には、主に3つの理由があります。
- 検索手段がなかった
SNSや攻略サイトが存在せず、真偽を確かめる方法がなかった - メディアの発信力
ゲーム雑誌の企画(嘘テク)やテレビの誤報がそのまま信じられた - ゲームの仕様
バグや不可解なテキストが多く、「何か隠し要素があるのでは」と勘違いしやすかった
当時は情報が不確かだったからこそ、噂に一喜一憂するワクワク感がありました。
それでは、伝説となったデマの数々を振り返っていきましょう。
昔のゲームの有名なデマ10選と真相
1. ドラクエ2「模様本の復活の呪文(最強パスワード)」
- デマの内容
「もようほん…」と開発スタッフの名前が並ぶ特定のパスワードを入力すると、レベル48の最強キャラクターでプレイを開始できる。 - 噂の真相
開発者の堀井雄二氏が後にラジオ番組等で「意図的に仕込んだ最強呪文は存在しない。
文字の組み合わせによる偶然の産物」と回答。
システム上の文字チェックを偶々すり抜けたデータでした。 - 当時の口コミ・思い出
- 「ノートに書き写した呪文を友達からもらって本気で試してた」
- 「装備が何もなくて怪しいと思ったけど、レベルの高さに興奮して疑わなかった」
2. ポケモン赤緑「モンスターボール連打で捕獲率アップ」
- デマの内容
- 投げたボールが揺れている間に「Aボタン連打」「B+↓」「LR同時押し」などをすると捕獲確率が上がる。
- 噂の真相
- 内部データの解析により、「ボールを投げた瞬間に捕獲成否の計算は完了している」ことが判明。
- ボタン入力は内部処理に一切影響しません。
- 当時の口コミ・思い出
- 「自分の地域では『AとB交互連打』が主流だった。地域差があるのが面白い」
- 「効果がないと知った今でも、癖で指が勝手に連打してしまう」
3. ゼビウス「バキュラは256発で破壊できる」
- デマの内容
- 画面上部から飛来する無敵の障害物「バキュラ」に弾を256発当てると破壊できる。
- 噂の真相
- プログラム上、バキュラは完全な破壊不能オブジェクト。
- さらに当時の仕様上、1回の出現中に画面内で当てられる弾数は最大84発程度であり、物理的にも不可能です。
- 当時の口コミ・思い出
- 「友達と2人プレイで交代しながら、連射測定器まで使って試した青春の思い出」
- 「開発者ですら『256発で壊せる噂』を知っていて面白がっていたらしい」
4. 水晶の龍「野球拳ができる」
- デマの内容
- ファミコン初のコマンド選択式ADV『水晶の龍』で、特定の手順を踏むとヒロインと野球拳ができる。
- 噂の真相
- ファミコン雑誌『ファミリーコンピュータMagazine(ファミマガ)』の超人気企画「ウソテク(嘘の裏技記事)」が元ネタ。
嘘と知らずに攻略しようとするプレイヤーが続出し、店頭からソフトが消えるほどの社会現象になりました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「ディスクシステムの書き換え用に500円握りしめて走った記憶がある」
- 「後からエイプリルフール企画だと知った時のショックと怒りは忘れられない」
5. 高橋名人「逮捕された」
- デマの内容
1秒間に16連射できるファミコン界のヒーロー・高橋名人が警察に逮捕された。 - 噂の真相
高橋名人が警察署の「一日署長」を務めたニュースが、子どもたちの間で伝言ゲームのように歪んで伝わったのが原因。
「指にバネを仕込んでいたから」「連射測定器の不正」など様々な尾尾ヒレがつきました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「テレビで見かけなくなった時期と重なって、当時は本気で信じていた」
- 「薬物説とかバネ改造説とか、学校ごとに違う噂が流れていてカオスだった」
6. ストリートファイターII「シェンロンが隠しボスとして登場」
- デマの内容
リュウの勝利メッセージ「昇竜拳を破らぬ限り〜」の誤訳から端を発し、師匠「シェンロン(昇竜)」が隠しキャラとして存在する。 - 噂の真相
米国のゲーム誌『Electronic Gaming Monthly(EGM)』がエイプリルフール記事として捏造した内容。
しかし、この噂があまりにも有名になったため、後に公式が『ストIV』などで「剛拳(ゴーケン)」やシェンロンの要素を逆輸入することになりました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「海外誌のジョークが巡り巡って公式設定化するのは熱すぎる展開」
- 「条件を満たそうと、ゲーセンでノーダメージクリアを目指す猛者がたくさんいた」
7. ファミコン本体「赤と白のカラーリングはコスト削減のため」
- デマの内容
ファミコン本体が赤と白(エンジ色)なのは、プラスチック樹脂の原価が最も安かったから。 - 噂の真相
任天堂の元社長・山内溥氏が個人的に好きだったマフラーの色(または社用商品)から採用したのが真相であり、コスト面は無関係です。 - 当時の口コミ・思い出
- 「雑学番組や解説本でも紹介されていたから長年信じ切っていた」
- 「社長の好みの色が、日本のゲーム機デザインの象徴になったのは凄い」
8. ドラクエ5「エスタークを10ターン以内で倒すと仲間になる」
- デマの内容
裏ボスのエスタークを「10ターン以内」という極めて短いターン数で撃破すると、パーティに加入する。 - 噂の真相
エスターク撃破時のセリフ「たった〇〇ターンで倒すとは…」というターン数カウント機能が原因で生まれた噂。
実際には仲間になりませんが、後のDS版リメイクなどで「プチターク」という関連キャラが追加されるなど、公式のセルフパロディへ繋がりました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「バイキルトと吹雪の剣を駆使して、友達と緻密な戦略を練って挑み続けた」
- 「仲間にはならなかったけど、公式が後年『プチターク』で拾ってくれたのはファンとして嬉しい」
9. FF7「エアリス復活ルートが存在する」
- デマの内容
劇中で命を落とす主要キャラ「エアリス」を、特定の隠しアイテムや手順を使うことで復活・生存させることができる。 - 噂の真相
当時のスクウェア公式は「物語のテーマに関わるため復活は絶対にあり得ない」と明確に否定。
しかし、2024年に発売されたリメイク作『FINAL FANTASY VII REBIRTH』では、パラレルワールド(別世界線)を交えた新たな展開が描かれ、長年のファンの熱量を再燃させました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「復活手順をノートにメモして、噂されるアイテムを何十時間も探した」
- 「あまりにもショックなイベントだったから、みんな救いを求めてデマを信じたかったんだと思う」
10. ポケモン金銀「金の葉っぱ・銀の葉っぱでセレビィが出現」
- デマの内容
ゲーム内で入手できる「きんのっぱ」「ぎんのっぱ」を特定の場所(ウバメのもり等)で使用すると、幻のポケモン「セレビィ」が出現する。 - 噂の真相
セレビィ自体はデータ上に存在していたものの、正規の入手手段はイベント配布のみでした。
しかし、後の『ハートゴールド・ソウルシルバー』等では、ウバメの祠に特定のアイテムを捧げるとセレビィ関連のイベントが発生する仕様が公式に組み込まれました。 - 当時の口コミ・思い出
- 「ウバメの祠の前で『Aボタン』を連打したり、画面を調べまくった」
- 「噂がきっかけで公式イベント化していく流れこそが、ポケモンの醍醐味」
デマが「ゲーム文化」を豊かにしていた時代
今回紹介した裏技や都市伝説は、現代の基準で見れば単なる「誤情報」です。
しかし、インターネットがなく情報が限られていた時代において、これらの噂はプレイヤー同士のコミュニケーションを盛んにする最高のスパイスでした。
- 学校での情報交換
放課後に友達の家に集まり、真偽を確かめる検証プレイが行われた - 嘘から出た実(公式化)
ユーザー間で広まった熱狂的なデマが、後に本物のゲーム仕様として公式採用された
スマホ一つで正確な攻略法が数秒で手に入る現代だからこそ、不確かな噂に心を踊らせた「あの頃のワクワク感」は、初期のゲームカルチャーを支えた貴重な体験だったと言えます。
まとめ:あの頃のゲームのデマは一生の思い出
ネットがなかった時代の「ゲームのデマ」について振り返りました。
- 情報不足と口コミがデマを生む土壌だった
- 雑誌のエイプリルフール企画やテレビの誤報が全国へ拡大した
- ユーザーの熱量が、後の作品で「公式設定」として結実することもあった
今一度、昔遊んだ名作ソフトをプレイしてみると、新たな発見があるかもしれません。

