「毎月なんとなく払っている生命保険、本当にこのままでいいのだろうか?」
近年、生命保険の解約件数が急増しています。特に20代〜30代の若手世代を中心に「保険離れ」が加速しており、従来の対面営業を軸としてきた保険会社の営業現場でも、新規契約の獲得が難しくなっていると言われています。
この記事では、生命保険の解約が急増している背景や若者が保険に入らない理由、そして損をしないための「本当に必要な保険・不要な保険」の見分け方を解説します。
生命保険の解約が急増している理由とは?
動画内でも紹介されている通り、生命保険の解約返戻金が前年同期比で約5割増という驚くべきデータが示されています。
解約返戻金の規模は3.8兆円を超え、過去に例を見ないペースで解約が進んでいるのが現状です。
なぜ、これほどまでに解約が増加しているのでしょうか。主な理由は以下の3点に集約されます。
① 保険会社・営業担当者への「不信感」の広がり
一部の保険会社による不適切な営業行為や過剰な勧誘手法がニュースなどで報じられたことで、「保険業界全体への信頼」が揺らいでいます。
親戚や知り合いの営業マンに言われるがまま加入したものの、冷静になって「自分には過剰な保障だったのではないか」と疑問を持つ人が増えています。
② ネット保険普及による「比較・見直し」の定着
スマホひとつで保険料や保障内容をかんたんに比較できる時代になりました。
かつては「営業マンから提示されたプランをそのまま契約する」のが主流でしたが、現在はSNSや比較サイトを通じて「自分にとって真にコスパの良い商品は何か」を調べる人が増え、無駄な保険の解約につながっています。
③ 手厚い「公的制度」の再認識
日本は世界的に見ても社会保障制度が非常に充実している国です。
高額療養費制度や傷病手当金などの公的支援が存在するため、「民間の保険に高額な保険料を払わなくても、国の制度で十分カバーできるのではないか」と気づく人が増えたことも、解約ラッシュの大きな要因です。
若者の“保険離れ”が進む3つの社会的背景
解約の増加と同時に顕著になっているのが、20代〜30代における「生命保険離れ」です。
若者が保険に入らなくなった理由は、単なる不景気だけではありません。
【若者の保険離れをもたらす3つの要因】
1. コスパ重視(リターンが見えないものへの投資を忌避)
2. 家計の余力低下(物価高・実質賃金の伸び悩み)
3. 加入機会の減少(職場や知人経由の強引な勧誘の減少)
① コスパ重視:「成果が見えないもの」にお金を払いたくない
生命保険は「将来、万が一の事故や病気が起きたとき」に支払われる商品です。
何も起きなければ、支払った保険料は掛け捨てになることも多く、リターンが不透明と言えます。
Z世代やミレニアル世代をはじめとする若年層は、合理性とコスパを重視する傾向があります。
「いつ起きるかわからないリスク」に毎月数千円〜数万円を支払うくらいなら、新NISAやインデックス投資など「成果が数字で見える資産形成」や、自己投資にお金を使いたいと考えるのが自然な流れです。
② 物価高と実質賃金の伸び悩みによる固定費削減
物価の上昇が続く一方、手取り収入が大幅に増えない状況下で、多くの若者が家計の固定費見直しを進めています。
家賃、通信費(格安SIMへの移行など)に並んで、優先的に削られるのが「加入している理由が曖昧な生命保険」です。
③ 加入の“きっかけ”そのものの減少
かつては、就職すると職場に保険の営業員(セールスレディなど)が出入りしていたり、親から勧められてそのまま加入したりするのが一般的でした。
しかし、現在はコンプライアンスの強化やリモートワークの普及により職場勧誘が激減。結果として、自分から探さない限り保険と接する機会がなくなっています。
専門家が「医療保険は基本いらない」と断言する理由
「医療保険は基本的不要である」という主張があります。
テレビCMなどで目にする機会が多い医療保険ですが、なぜ不要とまで言切れるのでしょうか。
① 医療保険は保険会社にとっての“ドル箱商品”
医療保険は「月々2,000円〜3,000円から」といった手頃な価格帯で販売されているため、心理的なハードルが低く加入しやすいのが特徴です。
ですが、裏を返せば保険会社にとって「原価率が低く儲かりやすい商品(ドル箱商品)」でもあります。
月3,000円という金額は、動画配信サービスやフィットネスジムの「幽霊会員のサブスク」と同じ状態に陥りやすく、保障内容をろくに確認しないまま長年放置されがちです。
年間3万6,000円、10年で36万円を支払って、得られた給付金は数万円程度というケースも珍しくありません。
② 日本の公的制度(高額療養費制度・傷病手当金)が強力すぎる
民間医療保険に入らなくても済む最大の理由は、日本の公的医療保険制度にあります。
- 高額療養費制度
1ヶ月にかかった医療費の自己負担額に上限が設けられる制度。
一般的な所得の会社員であれば、どれだけ高度な治療を受けても月額8万円〜9万円程度に抑えられます。 - 傷病手当金
病気やケガで会社を休んだ際、給与の約3分の2が最大1年6ヶ月間にわたって支給される制度(※会社員・公務員が対象)。
つまり、病気やケガで一時的に入院・手術となった場合でも、手元の貯金が数十万円程度あれば公的制度と合わせて十分に乗り切ることができるのです。
本当に必要な保険の定義:「自分で賄えない大金のリスク」
では、すべての民間保険が無駄なのでしょうか?スガワラ氏は「保険そのものが悪」と言っているわけではありません。
保険本来の役割とは、「めったに起きないが、万が一起きたら自分や家族の力では絶対に支払えない『超巨大なリスク』に備えること」です。
保険が必要な例:経営者が借入金に備える法人保険
具体例として、会社の経営者が多額の銀行借入をしているケースが挙げられます。
経営者が死亡した場合、多額の債務が会社や家族に残ってしまうリスクがあります。
例えば「2億円の借入」がある場合、借入額の1.5倍にあたる「3億円」の生命保険に入るべきです。
なぜ1.5倍なのでしょうか。
- 課税の壁
経営者が亡くなり、会社に3億円の受取保険金が入ると、それは「特別利益」として扱われ、法人税の課税対象となります。 - 実際の試算
3億円の保険金に対して法人税(約30%〜35%=約1億円)が引かれるため、会社に手元に残る現金は約2億円となります。 - 結論
結果として、ぴったり2億円の借金を無事に完済できます。
このように、「自力ではどうしても払いきれない数千万円〜数億円単位のリスク」に対してピンポイントで掛けることこそが、保険の正しい活用方法です。
【世代・状況別】あなたに生命保険が必要かどうかの判断基準
自分自身が保険に入るべきか迷ったときは、以下のチャートを参考にしてください。
| 属性・ライフステージ | 必要性 | 判断のポイントと理由 |
| 独身・借金なし(20〜30代) | 不要 | 万が一の際も困る遺族がいない。医療費は貯蓄と公的制度で十分カバー可能。 |
| 既婚・子どもなし(共働き) | 原則不要 | お互いに収入があれば生活が破綻しない。葬儀代程度の蓄えがあれば十分。 |
| 子育て世代(大黒柱の場合) | 必要 | 自分に万が一のことがあった場合、子どもの教育費や生活費が不足するリスクがあるため「掛け捨ての定期保険」等で準備。 |
| 会社経営者・個人事業主 | 必要 | 事業上の借入金の返済や、遺族の生活補償(事業所得者は遺族年金が会社員より少ないため)に備える。 |
若者(独身)の最適な戦略
現在独身で特に養うべき家族がいない若者は、月々の保険料を支払うくらいなら、その資金を「新NISAでの積立投資」や「スキルアップのための自己投資」に回す方がはるかに合理的です。
保険に回すお金を年利5%程度で資産運用に充てれば、数十年後には病気のリスクをカバーして余りある大きな「自己資産」を築くことができます。
保険の見直しを行う際のアクションプラン
今入っている保険を見直したい、あるいはこれから解約を検討したい方は、以下の手順で進めましょう。
- 現在加入している証券を集め、保障内容を可視化する
自分がどんなリスクに、いくら払って備えているかを把握します。
保障内容を把握していない保険は、そもそも請求漏れが発生するため入っている意味がありません。 - 「本当に困る金額」を計算する
「病気になったら毎月いくら必要か」「残された家族に必要な生活費はいくらか」を数字で算出します。
公的年金や高額療養費制度でカバーできる分を差し引きましょう。 - 医療保険・特約の解約・見直しを検討する
生活防衛資金(半月〜1年分程度の生活費)が貯蓄として確保できているなら、医療保険から優先して解約を検討します。 - 必要な補償だけ「掛け捨て」で安く入る
子どもが成長するまでの期間だけ保障が必要な場合などは、貯蓄型ではなく、保険料が格段に安い「掛け捨て型の死亡保険(定期保険や収入保障保険)」を選ぶのが鉄則です。
まとめ:保険は「入っておけば安心」ではなく「必要な分だけ」
生命保険は「みんなが入っているから」「なんとなく不安だから」という理由で契約し続けるには、あまりにも高額な買い物です。
生涯で支払う保険料の合計は、数百万円から数千万円にのぼることも珍しくありません。
近年の若者の保険離れは、冷やかしや軽率な判断ではなく、「公的制度を理解し、自分の資産をどう守るか」を真剣に考えた結果の rational(合理的)な選択と言えます。
「安心をお金で買う」という思考から一歩踏み出し、自分と家族のライフステージに合った本当の意味での「賢い保険選び」を実践していきましょう。

