国産米高騰でコメの民間輸入が95倍に急増。高関税でも「外国産」が選ばれる背景と今後の展望

データ 経済

現在、日本の食卓や外食産業を支える「コメ」の市場に異変が起きています。
財務省が2026年1月に発表した2025年の貿易統計によると、民間のコメ輸入量が前年比で約95倍という驚異的な数字を記録したことが明らかになりました。

1キロあたり341円という極めて高い関税を支払ってでも、なぜ今、外国産米の需要がこれほどまでに高まっているのか。その背景にある国産米の価格高騰と、変化する市場構造を解説します。

1. 統計が示す衝撃の事実:前年比95倍の輸入急増

財務省の発表によると、2025年のコメの民間輸入量は9万6834トンに達しました。
2024年の輸入量がわずか1015トンであったことを考えると、1年で市場環境がいかに激変したかが分かります。
特に輸入が集中したのは、2025年の夏場でした。

6月: 2万979トン
7月: 2万6397トン

この時期は新米の収穫前で、国産米の在庫不足感と価格高騰がピークに達していたタイミングです。

2. なぜ「高関税」でも外国産米が売れるのか?

日本は国内の稲作農家を保護するため、コメの輸入に対して非常に厳しい制限と高い関税を設けています。

ミニマムアクセス(無関税枠)の限界

政府は「ミニマムアクセス(最低輸入量)」として、年間約77万トンを無関税で輸入しています。
しかし、国内市場への影響を抑えるため、主食用としての枠は最大10万トンに制限されています。
2025年度分はこの枠が11月までに早々に埋まってしまい、需要を賄いきれませんでした。

枠外輸入のコスト構造

無関税枠を超えて輸入する場合(枠外輸入)、1キロ当たり341円という高い関税が課されます。
通常であれば、この関税によって外国産米は国産米よりも割高になります。

ですが、2024年から2025年にかけて国産米の取引価格が「歴史的高水準」と言われるまでに上昇。
その結果、「341円の関税を上乗せしても、外国産米の方がトータルコストで割安、あるいは同等」という逆転現象に近い状態が発生したのです。

3. 外食・加工業界が抱える深刻な事情

民間輸入の急増を牽引しているのは、主に外食チェーンや弁当・惣菜などの加工業者です。

  • コスト削減の至上命題
    原材料費や人件費が上昇する中で、主食であるコメのコスト高は経営を直撃します。
  • 供給の安定性
    国産米の品薄(いわゆる「令和の米騒動」の影響)により、安定した調達ルートを確保するために外国産へ切り替える動きが加速しました。
  • 品質の向上
    かつての外国産米に比べ、日本人の味覚に合う品種や保存技術が向上しており、ブレンド米としての活用や業務用としての評価が高まっています。

4. 国産米の現状と「米離れ」への懸念

2025年9月以降、新米の収穫が本格化したことで輸入量は減少に転じましたが、問題は根本的に解決したわけではありません。
一度外国産米に切り替えた事業者が、必ずしも国産米に戻るとは限らないからです。

  • スイッチングコスト
    炊飯設定やレシピを外国産米に合わせて最適化した場合、再び戻す手間が発生します。
  • 価格の硬直化
    生産コスト(肥料・燃料代)の上昇により、国産米の価格が以前のような低水準に戻ることは難しいと予測されています。

このような状況が続けば、消費者の「国産米離れ」が一段と進み、日本の農業基盤そのものが揺らぎかねないという懸念の声も上がっています。

まとめ:岐路に立たされる日本のコメ市場

2025年の民間輸入95倍という数字は、単なる一時的な品不足の結果ではなく、「国産米の価格維持」と「安定供給」のバランスが崩れ始めている兆候と言えます。

今後、消費者が安価な外国産米を許容する流れが定着するのか、それとも国産米がブランド価値を再構築して巻き返すのか。政府の農業政策と、流通・外食産業の動向から目が離せません。

この記事の監修者
和泉 大樹(Daiki Izumi)

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